インタビュー
オリジナル高性能パネル「e-panel」開発担当者インタビュー
2025年以降、新築住宅に省エネ基準適合の義務化を行っていくことが発表されました。
建物の断熱性の向上・エネルギー消費量の低減は、環境負荷低減だけではなく、ヒートショックやアレルギー疾患などの健康リスクを抑えることが期待されます。スマートウェルネス住宅とは、まさにこの二つの性能を持つ住宅です。
住宅の快適さや健康維持・増進とともに省エネルギー性を図り、光熱費などの負担を抑える住宅は持続可能な社会の実現にとって必要です。
※医学・建築環境工学の学識者からなるスマートウェルネス住宅等推進調査委員会を設置し、調査検証を実施。
私たちは10年後のあるべき住宅の姿を実験・実証・提案してきたコンセプトホームを通じてこれまでも健康「ウェルネス」について見つめてきました。先進技術の実験・実証以上に注力しているのが、気密・断熱性能の徹底です。現在新たな知見を得ている最中となりますので断言できかねますが健康増進に期待できるのではないかと思います。
どこの住宅会社でも言うことですが、「冬暖かく、夏涼しい」ことが重要です。初めに、住宅におけるリスクについてご説明します。冬のリスクについては、循環器系疾患による死亡者が多いということからも推測できることです。局所暖房を実施している住宅は暖房を行っていない空間との温度差が高く、暖房で暖かい居室から非暖房の温度の低い脱衣室、バス・トイレなどへ移動し、衣服を脱ぐ場面ではさらに身体に負担がかかります。いわゆる「ヒートショック」の危険にさらされるわけです。こうした体への負担を減らすには、家全体を温めて温度差が生じていなことが望ましいと考えられます。
夏のリスクは熱中症でしょう。熱中症の症状の発生は意外かもしれませんが住宅内が高い割合を示しています。直射日光を避けられる屋内であっても外気温の温度上昇の受けやすい住宅(断熱化が低い建物)ではそのリスクが高いと考えられます。いまや日本の夏は積極的にエアコンを使用し温度調整を図ることが望ましいと考えられます。高温多湿な日本の夏では単に快適性だけではなく健康被害への影響が考えられるため温度調整とともに湿度調整が重要です。
「冬暖かく、夏涼しい」ということの重要性はこうした健康被害のリスクを抑えることを期待していることを示しています。とりわけ、冬の健康被害に対する対応は期待できると思います。
【断熱】【気密】【換気】の3要素によって住居内の温度差を生じにくくするように努めています。外気温の影響を受けにくくすることで暖房を停止した状態でも温度低下を抑えることができます。保温性の高い上に換気による温めた温度の損失を抑える方式を採用することで効率的な暖房が可能です。私たちの住宅(UA値0.44)でシミュレーションした結果0時に25℃の状態で暖房を停止した場合翌朝6時で21℃超と起床時の温度低下を抑えられることを確認しています。また、部屋間温度差を抑えられていることも確認。前述のような健康被害のリスクを抑えることが期待できます。
換気の重要な役割は2つです。1つは適切な換気を行い室内の汚れた空気を外気と入れ替えることです。私たちはその時に外気を外気温のまま取り込むのではなく、室内の汚れた空気を排出するときの室温と温度の交換を行って温度は極力下げずに換気だけを行っています。そうすることで冷暖房効率は高く、室内の空気をきれいに保ちます。もう1つは計画された換気ルートを設計することで空気だまりが起きずらくします。空気だまりは汚染空気だけではなく、温度のムラも該当します。室内に限らず家全体の空気の循環も担っています。温度のムラが激しいほど、人体への影響・負担が大きくなります。
窓を開ける換気も有効です。私たちの住宅では夏や冬など気候の激しい時期以外は窓を開ける換気も推奨しています。パッシブ設計という考え方がそれで、暖かい空気が上昇する特性を利用した窓の配置を行うことであったり、風を取り込み排出しやすい窓の設置などを行っています。こうしたことで温度を下げるためにエアコンを使わずに済んだり、サーキュレーターを使用しないなど電気を使わずに快適性が得られることも重要です。体にもお財布にもやさしいことが重要です。
一つは消費者保護の観点です。健康に関する効用をうたうに足りる根拠がまだないことで、現在精査されています。もう一つは住宅について基準がないことです。前述のとおり精査しているところですので、これから基準が設けられると思いますが、現在法整備もなされていないことで住宅メーカーによって、対応が分かれているのが実情です。
労働環境や学校においては、温度や換気といった環境衛生基準が設けられています。住宅についてもホルムアルデヒド量や換気回数などの基準にとどまっていました。令和3年3月に改定された「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」で自宅での仕事を見据えて、労働環境管理のガイドラインを参考にしたガイドラインが示されました。
このガイドラインによると、室温は17℃~28℃を目安としています。自宅での快適温度の目安になると思います。冷暖房機器による温度調整は必要ですが、そのエネルギーの消費を抑えて快適な環境を整えることができるのがフィアスホームの特長です。こうした住環境についての対応に消極的だった住宅メーカーも対応していくことを望んでいます。
そうですね。私たちもそのような住宅設備の実証、研究を進めています。例えば洗面室の鏡を利用したもので、鏡に顔を移すだけで心拍数を測定。将来的には体温、血圧、体重など測定項目を増やして総合的な健康管理が行えればと考えています。他にも健康をサポートする空気・湿度環境を作るようにCO2コントロールや上質空調システム、抗アレルゲンの建材や調質建材の利用などが挙げられます。
コンセプトホーム実証・実験イメージ
オリジナル高性能パネル「e-panel」
開発担当者