省エネ住宅の外観デザイン

政府が定めた住宅の基本政策が具体化し、一定の基準を満たした省エネルギー住宅は様々な優遇措置を受けることができます。
国の住宅政策の見直しによって、最近の住宅には省エネ性能や長期に渡る耐久性能など一昔前は余り重視されていなかった性能が求められており、様々な優遇措置を受けることができ、普及推進の後押しする形になっています。住宅の外観デザインは、当然、これら性能・機能等とは無縁ではなく、考えて行くとおのずと決まるカタチというものがあると思います。
今回は省エネ住宅について、デザインの観点から考えます。

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省エネ住宅の外観デザイン

『家の作りやうは夏をむねとすべし』
吉田兼好が『徒然草』に記した言葉ですが、私たちが「日本の住まい」と聞いて思い浮かべる「深い軒」「大きな窓」などの特長は、日本の気候風土・・・多湿で暑さの厳しい夏、不快な梅雨等・・・への対策として考えられたカタチです。「深い軒で夏の厳しい日差しを防ぎ、窓からの通風を確保して涼を取る」、「雨が多い日本の気候を考え、深い軒で雨がかりを防いで家の耐久性を向上させたり、雨の吹込みを防ぐ」というような知恵のつまった工夫なのです。
「それは昔の事!暑さや湿気はエアコンがあるから関係ない」という方もいらっしゃるかもしれませんが・・・日本の温室効果ガス削減目標は、2021年4月に、2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。 政策上もエアコン、照明等の設備の負荷を減らしてエコ生活が出来る事はこれからの住まいのあるべき姿ですし、軒を深くして少しでも住まいの耐久性を増す必要がある事は、今も昔も基本的には変わりません。

日射をコントロールする外観デザイン

軒の深さは建物の立体感を演出し、ファサードを印象付けます。そうしたデザイン性とともに機能的なデザインとして役立つのが日射のコントロールです。
省エネ性を高めるには自然環境の影響を受けにくくするとともに自然のエネルギーを上手に使うことが重要です。太陽の日差しは室内を明るく快適にする反面、太陽の熱が室内に大きな影響を与えてしまいます。そうした熱は冬場は暖かい室内環境をもたらしますが、夏場は不快な温度上昇へとつながりますのでできるだけさえぎりたいことです。建物に断熱材を十分に充填し熱の影響を受けにくくすることも重要ですが、窓から直接日射を差し込まないようにさえぎる工夫が軒の出による遮蔽です。下記のイラストのように夏場は日射を軒の出によって日射をさえぎり、冬場は室内の奥まで日差しを招きます。日差しを遮る工夫は古くから、すだれやよしずがありますが、軒の深さも日差しを遮る工夫の一つとなります。

窓の配置を整える外観デザイン

窓にはLow-eガラスを採用し窓を大きく計画、日射を防ぎつつ明るさは取り入れ、できるだけ無駄な照明はつけないようにすることができます。
窓の性能を高めることである程度影響を抑えられますが、夏の西日は室内に与える影響が強くなるのでできれば断熱材を充填した壁によって防ぐように外観デザインを構成できるのが望ましいです。

太陽光発電システム発電効率と屋根形状

屋根を考える時に太陽光発電システムの発電効率を考慮した場合方位と角度が重要になります。太陽光発電システムを載せやすく、意匠性も街並みに調和するように検討します。デザインを決定するにあたっては建物への風の影響を考慮し耐風性能も考慮することが求められます。

風を捉える外観デザイン

一つはどのタイプの窓を選択するかで意匠性も風の取り込み能力も大きく変わります。たてすべり窓は引き違い窓と比較して約10倍の通風量をもっています。下のシミレーションをご覧ください。赤い線が風の流れを示すものです。赤から緑、そして青と青色に近づくほど空気が動いていないことを示しています。たてすべり窓を開けることで窓にあたった風が室内に強く流れていることがお判りになると思います。窓の種類でこれだけの効果が変わります。そうした窓の配置と意匠性を両立したのがフィアスホームの“フル3Dウィンドウ”通風効果と規則的な窓の組み合わせが外観デザインにアクセントを与えます。

約10倍の通風量
回答結果の棒グラフ

フル3Dウィンドウで効率的に風邪を取り込む

室内から見たフル3Dウィンドウ

屋外の風を効率的に取り込めるフル3Dウィンドウ。すべり出し窓の組み合わせにより、自然の風を有効に取り込みやすくなります。
※サッシの種類により設定できない場合があります。

すべり出し窓を開けた状態
すべり出し窓を開けた状態
すべり出し窓を閉めた状態
すべり出し窓を閉めた状態

窓以外にも建物を凹型にするように袖壁を設けることで袖壁に風を受け窓に取り込むことや、バルコニーの袖壁によって生じた減圧によって空気の流れを発生させることが期待でき、立体的な外観デザインを演出します。

まとめ

省エネ住宅の外観デザイン、いかがでしたか?
住宅の外観は単に見た目の格好良さを追い求めるのではなく、省エネや耐久性をしっかりと考えて、いかにエコに長く住むようにするか?、こんなことを考えデザインを行う事が普通の時代になって来ました。
これから新築される方は、省エネ住宅について設計士の方やビルダーさんに相談しながら二人三脚で実践してみて下さい。