風と光のデザイン その1

地球温暖化、温室効果ガスの削減・・・。
テレビ・新聞・雑誌等からは盛んに地球環境の変化に対して警鐘を鳴らす報道が流されているため、一般の方の「環境」に対する意識も変わりつつあります。
こんな時代の流れの中で、住宅の考え方も大きく変わろうとしています。
これから新築を考えられている方には是非知っておいていただきたい新しい住宅について考えます。

Contents

風と光のデザインとは

ここ数年の国や研究機関の研究の成果として省エネに配慮した住宅の新しい考え方として、次の3つのスタイルがあります。

  1. 自然にこだわって、自然を十分に取り入れる
  2. 自然を活用しながら省エネルギーと設備利用を両立させて快適な生活を目指す
  3. エネルギー効率の高い設備機器を積極的に導入して快適な生活を目指す

ちょっと難しい言葉がありますが、みなさんはどのような印象を受けましたか?
同じ省エネでも、1はやや少数派に属するのではないでしょうか?、3は閉鎖的で人工的な住まいといった感じがします。
2の住宅が一般の多くの方に違和感なく受け入れる事ができる考え方ではないでしょうか。
「自然を活用しながら」という点が本題の風と光のデザインというわけです。何気なく窓を開け風と家の中へとり入れたり、ブランドやカーテンを開閉し調光されていると思います。そうした日常の暮らし方を続けていただくだけで更に自然エネルギーを取り入れたり影響を受けにくくすることを考えた住宅のデザインのことを“風と光のデザイン”と称しています。

自然を上手に取り入れるエコな住まい

上にあげた住宅はしっかりとした気密断熱性能を持った住宅を基本として、自然の風や光を上手に利用する事によって「環境への負荷」や「エネルギーの消費」を控える『エコな住まい』といえます。身近な問題としては、毎月の光熱費の節約にも跳ね返ってきますね。
このような住宅の四季の生活イメージは次のようになると思われます。

夏の住まいのイメージ

気密性・断熱性に優れた住宅である事が前提になります。
気密断熱性能が劣ると、エアコンは非効率になり無駄なエネルギーを消費してしまいます。気密断熱性に優れた住宅とエネルギーを極力浪費しない効率的冷房の組み合わせでエコな生活を送りますが、新しい考え方ではさらに自然と上手に付き合おうというものです。
夏は急な角度で太陽が差し込みます。 他の季節に比べ室内に入り込む日射は減る傾向にありますが、南側のお庭には高めのシンボルツリーを植えてこのきつい日射を少しでも遮ります。 また、芝やデッキなどを上手に計画する事で太陽光の照り返しが室内に入り込むことも極力防ぎます【図1】。
このように建物と外構植栽を上手に計画し、エコな生活を送ることを目指します。 気密断熱性能の高い住宅であれば、冷房を止めても涼しさが持続します。

図1

冬の住まいのイメージ

冬は1年で最も太陽高度が低く、緩い角度で陽がさす季節です。
「夏の住まい」で紹介したお庭のシンボルツリーを落葉樹にしておくと、冬は日射を遮ることなく部屋の中に日差しを招き入れる事が出来ます【図2】。
この時、南の窓を大きなモノにすることで、同じ日照時間でもより長い時間、陽が差し込む事になります。また、高さのある窓は室内の奥まで光を届ける事が出来るので入射角が小さい冬の南中時でも比較的部屋の奥まで光を招き入れることができます。このように光と暖かな日差しを取り入れる事で、人工の照明をつける時間を減らして、省エネで快適暖房を行なおうという考え方です。 やはり冬も建物に十分な気密断熱性能がないと省エネ効果が薄くなります。冷気をしっかりシャットアウトしながら、効率的な暖房を行なって省エネ生活を目指すものです。

図2

春・秋の住まいのイメージ

春や秋は気持ちの良い風と光を建物に取入れ、無駄な冷暖房を行なわないエコ生活を送ります。ただ、何も考えずに住宅を作っても快適な風や光を取り込む事はできません。
間取りを考える時に春秋、さらに夏の朝夕の風の取り込みを考慮した風の道を作り、外構植栽を上手に計画する事でエコな生活を営む事が出来ます。

図3

まとめ

風と光のデザイン、エコな住まいについて考えてみましたが、いかがでしたか?
住宅の計画時に気候風土、立地条件を勘案し、上手に自然エネルギーを活かせる設計を志したいですね。
大前提としては、高気密高断熱住宅でエネルギー浪費を起こさない基礎性能が必要になります。
世界の環境はCO2 削減待ったなしの状態のようですね。
私たちも、個人でも企業でも出来ることから少しずつ地球環境の改善に貢献したいものです。
これから新築される方は、省エネ住宅について設計士の方やビルダーさんに相談しながら二人三脚で実践してみて下さい。