風と光のデザイン その2

地球温暖化、温室効果ガスの削減・・・。
テレビ・新聞・雑誌等からは盛んに地球環境の変化に対して警鐘を鳴らす報道が流されているため、一般の方の「環境」に対する意識も変わりつつあります。
こんな時代の流れの中で、住宅の考え方も大きく変わろうとしています。
これから新築を考えられている方には是非知っておいていただきたい新しい住宅について考えます。
今回は具体的な住宅の間取り意匠に沿ってご紹介します。

Contents

風と光を取り込む住宅のデザインとは

今、住宅にも省エネルギー性が求められています。
最も断熱性・気密性に優れた住宅は1999年に定められた次世代省エネルギー基準をクリアする住宅で、従来の住宅に比べて小さな冷暖房で健康、快適に省エネ生活を送る事ができます。
「断熱性気密性に優れた住宅」というと、どちらかというと閉じるイメージがあり、専ら夏と冬の快適性を追求し、省エネの観点からは冷暖房を効率的に行い光熱費を抑えるような捉え方をされています。
では、1年を通してより快適で省エネな暮らし方にするには?

風を利用して「快適に」「省エネ」で暮らす

写真1
写真1

写真の住宅では、気密・断熱はしっかり、窓の大きさ、位置、形などに工夫を凝らしながら、春や秋は気持ちの良い風を出来るだけとり入れたり、夏の涼をとることによって、より快適な生活ができること、そして、さらに省エネで生活できるよう計画したものです。
従来の住宅に比べて窓の大きさやデザインの仕方がちょっと変わっているのが【写真1】からもわかると思います。

1階の窓の計画

天井高さに近い背の高い大きな窓【写真2】、地窓【写真3】、高窓【写真4】など、【図3】の断面図にあるような風の流れを期待した計画をしています。 玄関土間にある地窓から入った風がリビング・ダイニングを通り高窓や吹き抜けを通って2階の窓から抜けていくような考え方です。
当然、風だけでなく、光のとりこみについても同時に考えていますが、光については別の機会にご紹介します。

写真1の1階平面図

室内建具の計画

写真1
写真5

この住宅では、室内の建具についても工夫しています。
せっかくとり入れた風が建物の中をストレス無く通り抜けたり、自然な換気を促すために開閉機能ランマ付ドアを採用し、ドアを開けなくても心地良い風が流れるように計画しました【写真5】。
昔ながらのランマが復活した感じですね。
また、引き戸を上手に計画することで通風効果を上げたり、ある程度コントロールすることもできます。
【写真6~8】は、リビングの入り口の引き戸で、地窓から入った風を、戸の開け具合によって調整している写真です。
引き戸は、片開き戸に比べて、開けたときに通行の邪魔にならず、ユニバーサルデザイン的にも優れていますが、開放する寸法を調整することができるので通風に対しても有効です。

写真6
図2
写真7
図2
写真8
写真9

このようなさまざまな工夫を取り入れながら、気持ちの良い風を家の中に招くような計画をしています【写真9】。

まとめ

風と光のデザイン、エコな住まいについて考えてみましたが、いかがでしたか?
住宅の計画時に気候風土、立地条件を勘案し、上手に自然エネルギーを活かせる設計を志したいですね。 大前提としては、高気密高断熱住宅でエネルギー浪費を起こさない基礎性能が必要になります。
世界の環境はCO2 削減待ったなしの状態のようですね。
私たちも、個人でも企業でも出来ることから少しずつ地球環境の改善に貢献したいものです。
これから新築される方は、省エネ住宅について設計士の方やビルダーさんに相談しながら二人三脚で実践してみて下さい。