失敗しない住まいづくり7つのポイント 後編

失敗しない住まい作りのためのポイントの後編です。
住宅は一生に一度の大きな買い物・・・と良く言われます。
注文住宅の場合、分譲住宅やマンションを購入するのとは異なり、新築住宅の場合は完成するまで自分が思った通りに出来上がるかどうか、わからないという不安があります。
そのためには、専門家に自分の希望を上手に伝えたり、キチンと伝わっているかどうか、思い通りになっているかどうか、の確認をしないといけません。
それでは、失敗しない住まい作りのためのポイントについて考えます。

Contents

失敗しがちなポイントとは

一般の方が家作りを計画する時、残念なことによく見受けられる失敗しがちな例があります。

  • 失敗しがちな例(その1):住宅を計画する時、「家作り=間取り作り」 と考えてしまう。
  • 失敗しがちな例(その2):外観デザインや 素敵なリビング、キッチンの計画 便利な設備などを優先してしまう。

家作りは、パズルのように各部屋を組み合わせていくだけのものではありません。また、間取り作りと同時に、どうしても素敵なインテリアや便利な設備の計画に目がいってしまいがちですが、総合的に考えておかないといけない事柄が少なからずあります。
まずは、ご家族の一日の行動、ライフスタイルを思い起こしてどのような生活を送られているかを設計士やビルダーさんにお話ししながら進められるのが肝心です。
ここでは、ご家族ごとに大きく変わるライフスタイルに関する内容を除いて7つのポイントとしてご紹介します。

失敗しない住まいづくり7つのポイント

3, 風通し・日当たりを考える

まずは経験を積んだ専門家に配置計画も含めて計画してもらいましょう。住まいの「快適性」に大きな係わりのある家の配置は、隣の住宅や周辺環境への考慮が大切です。

風通しや日当たりを考える上で大切な住宅の窓の計画について

ご自分の間取りを考える方もいっらしゃると思いますので、その際の注意点です。
窓は一部屋に二ヶ所作って自然の風が通るようにする事をお勧めします。エアコンを使うのが当たり前の生活になっていますが、春秋などには風を取り入れて自然を感じながら生活をする事も、無駄にエネルギーを使わず地球環境を考えた生活を送る上で大切だと思います。
最近は、事前に【図1】のような風の流れをシミュレーションするサービスを実施している住宅会社もあるので、計画時に確認してみて下さい。

図1 風の流れを考えて間取り作りをした住宅(シミュレーションソフトで風の流れを再現し例)
シミュレーションソフトで風の流れを再現し例

日当たりについて

日当たりの効果は窓の大きさや高さなどによって違います(【図2】参照)。窓位置は高い方が部屋の奥まで光が届き、冬(冬至)に一番部屋の奥まで光が届くので、部屋の用途や使い方を考えて計画するようにして下さい。
また、敷地にある程度余裕がある場合、建物の外形を工夫する事で、リビング・ダイニング、キッチン等への日射を考慮する事が出来ます(【図3】参照)。
※地域性や敷地周辺の環境にも大きく左右されるので、事前にご自分の敷地のまわりをよく確認し、設計士さんなどに相談しながら進めて下さい。

図2 窓の位置、大きさによる光の届き方の比較
窓の位置、大きさによる光の届き方の比較
図3 日照を考慮して平面構成を工夫したプラン例
日照を考慮して平面構成を工夫したプラン例

4, 収納を考える

収納には「分散収納」と「集中収納」のふたつの考え方がありますので、用途に応じて使い分けてください。
「分散収納」は必要な所に必要なだけ収納を確保するもので、使い勝手を優先する洗面所やキッチンなどがこの例です。
「集中収納」は一箇所に集中して収納を確保するもので、「リビング・コンテナ」【写真1、2】がこの例です。集中して収納する事でスペースを有効に活用したり、便利な暮らし方が出来ます。

リビング・コンテナ 写真1
写真1
リビング・コンテナ 写真2
写真2

5, 家具配置を考える

家具レイアウトに必要なスペースは意外と分かり難いものです。

  • 家具を置いてみたら予想より大きく、窓に一部がはみ出してしまった
  • ダイニングが狭くてテーブルの手前に人が座っていると奧に座ることが出来ない
  • 階段幅が狭く、2階に家具が運べないといった事もおこりがちです。

手持ちの家具、これから購入される家具などの家具リストを作成し検討をする事をお薦めします。

6, 電気配線を考える

一般的に見逃しがちなのが、スイッチ・コンセントなどの取り付け位置です。住宅の計画時は間取りや設備に目が行きがちですが、実際の生活が始まって困る事がないように実際の使い勝手を考えて現場でも確認しましょう。

7, 家族の健康を考える

家族が健康に暮らせる住宅とは?
断熱性・気密性がきちんと確保されていない住宅では、人のいる部屋だけ暖房しても、暖房をしていない他の部屋は冷えて、結露によるカビ、ダニが発生してしまうと、アレルギー等健康被害を受ける可能性があるので要注意です。
また、このような状態の住宅内では部屋間で極端な温度差(ヒートショックと言います)の発生が予想されます。ヒートショックは(特に高齢者の方には)心臓に負担をかけてしまい、脳出血などの原因になる場合があるので要注意です。

1年間の住宅内での死亡者の推移

出所:羽山広文他「住環境が死亡原因に与える影響その1」2009

これに対し気密性断熱性の高い住宅では、各部屋間、上下の温度差がほぼ均一になることで結露が防ぐことが出来、健康的な生活を送ることが可能です。また、壁の中の結露を防ぎ、建物の耐久性を高めることも可能になります。

家族とのコミュニケーションをテーマにした提案

「家族が集うワンルームタイプの大きなLDK」「吹き抜け、吹き抜けに面した階段を設け、子供の気配を感じるリビング」・・・、こんな住宅の写真などが雑誌に掲載されていますが、しっかりとした建築計画と『高気密・高断熱』技術がなければ実現出来ません。
素敵なインテリアに目を止める前に、是非、建物の性能についても確認をしてみて下さい。

まとめ

失敗しない住まい作り7つのポイント後編はいかがでしたか?
住まい作りを進める中で、気をつけていただきたい基本的な内容を挙げてみました。
当然、これ以外にも注意していただきたい点は多々ありますが、紙面に限りがありますので、今回はこの辺りで。
皆様の参考になれば、幸いです。